【ニュー・フロート・アイランド シンポジウム】がキリバス共和国のアノテ・トン大統領をお迎えして2009年5月22日に開催されました。
このシンポジウムは、大型フロート(浮島)の技術を使って、人をはじめとする様々な生き物の生活の場となる人工大地を創ろうとする2つのグループが出会い、お互いの情報を広く公開し、衆知を集めて共有する課題を解決する目的で開催しました。
また、この2つのグループのプロジェクトは、地球温暖化によって水没の危機に直面する南太平洋の島嶼国の地域を計画対象にしており、水没の危機に直面する国々に対する救護策の1つになる可能性も秘めています。
今回参加した一つのグループは地球倶楽部ネットワーク2000と日本大学のグループで、水没の危機に瀕したキリバス共和国のために人工国土としてのフロートを計画しています。もう一つは清水建設株式会社の未来構想を立案するグループで、「環境アイランド GREEN FLOAT」という構想を発表していました。
この構想は、キリバスを含む南太平洋の海域での実施を想定した洋上都市計画です。 この両者は2008年末に出会い、それぞれの構想の実現に向けて共同してシンポジウムを開催することになりました。
本シンポジウム全体を通して、大型フロートに関する基本技術がほぼ確立されていることを再確認すると共に、大型フロート利用に関する新しい動きを概観し、残された課題について議論することができました。
シンポジウムの最後には、キリバス共和国アノテ・トン大統領より東京宣言が発表されました。この宣言は、地球環境に生きる全ての人が自覚すべき基本的な権利と義務を宣言したもので、今後の人類の活動にとって重要な宣言です。
当社は、地球倶楽部ネットワーク2000と日本大学のグループがキリバスのために作成したFarm Float 2015 の計画に参加しています。当初のイメージ図を実現可能な計画に発展させる段階から参加し、当時白江が日本大学の非常勤講師をしていた関係で、日大理工学部海洋建築工学科のご支援をいただきながら今の計画案に至りました。
また本シンポジウムについても、白江が実行委員として深く関与しています。フロートの技術は日本では造船技術を基礎として早くから発展し、海外で使われる石油掘削リグを作ったり沖縄海洋博でアクアポリスを作るなど実績を重ねてきました。
近年は海上空港の可能性を検討するため実際に航空機が離発着できるフロートを作って、実証実験を行っています。今では大型フロート技術は日本固有の確立された技術として、すぐにでも実施できる体制になっています。
しかし、フロートによる海上利用が埋め立て方式に比べてコスト的にも環境への影響の点でも有利であることが分かっているにも関わらず、いざプロジェクトを実施する段階になると、日本では古い感覚の経済政策が優先されて、技術力がなくても実施可能で小規模な建設会社に分散発注できる埋め立て方式に代わってしまいます。
このためフロートの技術者は実践の場を得ることが出来ず、研究を進めていた企業の関係部署や研究機関も多くが閉鎖されてしまいました。また職を失った技術者の海外移動や留学生によって技術が流出し、今ではアジアの国々が先行する可能性が高まっています。
フロートは、海上風力発電や太陽光発電、海藻オイル生産、栽培漁業基地など、近未来の基幹技術です。地盤沈下に悩み続ける関西新空港の状況や、埋め立て方式で行われた羽田空港増設に投じられた費用がどれほど国益につながったのかなどを考えると、巨費を投じて確立した技術が崩壊し、流出することはとても残念です。
このシンポジウムは、このような事実を一般の方に知っていただく上でも重要なイベントであると考えています。
会場は日本大学理工学部CSTホールで、終始満員の盛況でした。
別のフロアーに設けられた関連展示も、沢山の大学や研究所のご協力をいただいて、非常に充実したものになりました。特に地球環境関連の最新情報が網羅的に展示できました。
一般客が来る前の早朝に、大統領に関連展示を見ていただきました。大統領ご夫妻はお二人ともイギリスの大学で化学を専攻されたとのことで、展示内容を素早く理解され、具体的な技術に踏み込んで関心を示されました。
シンポジウム会場前のホールに展示されたキリバスのためのフロート計画(Farm Float 2015)について説明しました。右端が説明中の白江、中央のお二人が大統領ご夫妻、左から二人目が通訳をして下さった総領事代理の栗林氏、左端が計画チームリーダーの外村氏です。
清水建設がキリバス周辺の海域に提案した環境配慮型の高層フロート都市(Green Float)も展示され、社長と担当スタッフが大統領へ説明しました。(写真左)
水素発生プラントの試作装置も展示されました。600度以下と言う低温で水素を発生させるそうです。最新の試作プラントでは300度台の温度での稼働が可能になっているとのことです。(写真右)
オープニングはJAXAから提供された月の地平線から上る地球の映像でスタートしました。大変貴重な映像だそうです。その後は宇宙技術開発株式会社代表取締役専務の天本氏のハーモニカ演奏です。総合司会はNPO法人日本癌コントロール協会の森山理事長とお嬢様が絶妙なコンビでご担当して下さいました。
その後に地球倶楽部ネットワーク2000のメンバーによる合唱が行われました。 左がキャプテンの野村氏、中央が小田林氏、右が木下氏。(写真左)
次に清水建設株式会社代表取締役社長の宮本氏が主催者を代表して挨拶されました。(写真右)
ここからがいよいよ本題です。 清水建設株式会社、竹内部長によるGREEN FLOATのプレゼンテーションが行われました。
計画のコンセプトは「植物質な都市」と言うことで、単なる箱物の提案ではなく二酸化炭素の削減や物質循環に配慮し、生物の増殖システムから学んだ増築の考え方など、地球環境への配慮が中心の提案です。
次にNPO法人球倶楽部ネットワーク2000の外村氏よりFarm Float 2015について発表がありました。 同時に地球倶楽部ネットワーク2000の協力者であるインテクとホールディングスの石川代表より、本計画のエネルギー源として検討している水素発生プラントの開発状況の発表がありました。
Farm Float 2015は、2001年に地球倶楽部ネットワーク2000が開催した宇宙船地球号子ども会議の際に、キリバスの代表として参加していたお子さんが、「僕の国は地球温暖化によって沈む」と発言したのがきっかけでした。
「だったら地球倶楽部ネットワーク2000が、“ひょっこりひょうたん島”を作って助けに行こう。」と言うことでこの計画がスタートしました。一見冗談のような計画ですが、最初のイメージスケッチである「宇宙船オアシス」の図版を港湾技術の専門家である山崎勝哉氏が作成しており、当初から真面目な取り組み体制になっています。
Farm Float2015も「宇宙船オアシス」の延長上にあり、現地の島の暮らしを延長させたような島のアネックスを提供すると共に、新しい海洋ライフスタイルを提供する計画です。
「ひょうたん島」がこのフロートのニックネームで、著作権者である井上やすし氏に了解を得ています。全体が緑のフロートですが、瓢箪型の中には内海もあります。全体の面積は20ha、長手方向の長さは780m、短辺方向は460m〜400m です。
内海には、港、ヨットハーバー、コーラルビーチ、海藻畑、養魚場等を配備する計画です。フロート上には宿泊施設、病院、シティホール、ヘリポート、行政センター等があります。
フロートの外縁部の緑地は、背の高いココナツヤシの林で海からの風を防いで、その内側にバナナ畑やタロ芋の畑があり、その中に沢山の集落が点在しています。中央部の緑地は緩やかな斜面になっていて、パイナップルやニンニクの水耕栽培をしています。
また、オーシャンウォッチセンター、ウィンドファーム、外洋養魚場など、未来に向けた施設も計画しています。化石燃料の使用をゼロにし、水から取り出す水素を主要エネルギーと考えています。
また、ここで展開される農業には、砂漠の緑化やパイナップル・にんにくの水耕栽培など、地球倶楽部ネットワーク2,000が過去のプロジェクトで展開してきた技術を投入します。このフロートを建造するのに必要な時間は、設計を含めて3年、コストは2000 億円、耐久年数はメンテナンス計画・補修を前提として1000 年と考えています。
お昼時間には大統領歓迎のTea ceremonyが行われました。 お茶を点てているのは安孫子芳枝先生です。(写真左)
バヌアツの首相ご夫妻のご一行と、ミクロネシア連邦の資源開発大臣、ツバル国在東京名誉総領事もご出席いただきました。(写真右)
午後の部は日本大学理工学部長の滝戸先生の挨拶でスタートです。
続いてキリバス共和国の国歌演奏の後、アノテ・トン大統領の基調講演が行われました。 (以下に内容を要約します。要約責任:白江 公演は終始丁寧で上品なトーンで行われました。)
「キリバス共和国の島々は、地球温暖化に伴う海面上昇によって数世代の間に消えてしまうかもしれない。
発展の恩恵を受けて豊かさを享受している先進国が環境破壊の原因を作り、豊かさを享受出来ていない上に温室効果ガスを発生させていない私達の国の人々の生命を脅かしている。
これは私共に対する道徳的な挑戦である。 考えたくもない現実だが、すでに引越・移住の政策を考えている。このことが当事者にとって感情的な大きなストレスになっている事をお解り頂けると思う。
今日発表された計画は非常にわくわくするものがある。溺れる人がライフジャケットを渡された時に感じる様な気持ちである。私共は、本当に切羽詰っている。
革新的な解決策には非常に膨大な資源が必要になるが、それは国際社会が協力して可能にしなければいけない。
その為には、道徳的な、政治的なコミットメントを同意しなければならない。そして、ある程度の犠牲を払わなければ実現しないと思う。この様な革新的なソリューションの発表が、この地球をどうやって管理していくかという問題から目をそらすことに繋がってはいけない。
国連憲章の中に60年前に盛り込まれた人権については妥協すべきではないが、現実には妥協せざるを得ない状況だ。今回のシンポジウムは、諦めの気持ちであった私達に対し、大きな希望を与えてくれた。」
引き続きパネルディスカションが行われました。 来場者も専門家が多いようで、中身の濃い議論ができました。
パネリストは左から東京大学名誉教授で現在日本大学教授の前田先生、前田先生はフロート関係の分野の大家です。左から二番目が日本大学講師の佐藤先生、佐藤先生も東京大学の出身で、三井造船時代に北海油田で使う石油掘削基地など、多くのフロート建設の実績をお持ちで、実務面の第一人者です。
左から3番目が当社の白江です。その隣の右から3番目がNPOツバルオーバービュー代表の遠藤氏、右から2番目が清水建設社長の宮本氏、右端が日本大学理工学部海洋建築工学科教授の増田先生です。増田先生はフロート技術の専門家で、日本大学でのフロート関係の情報の取りまとめ役でもあります。人工筋肉を使った波力発電などでも有名です。
ファシリテーターは増田光一先生です。 まず最初に清水建設の宮本洋一社長より「Green Float」の意義と今後について発表がありました。
浮体(フロート)はコンクリートのハニカム構造で、海上で建設するとのことです。上部構造には海水から取り出したマグネシウムの採用を考えているとのことです。計画は構築物だけでなく、社会全体のしくみを計画しているとのことです。
エネルギー面でのトピックとしては、廃棄物からメタノールを直接抽出する方法やルナリング(清水建設が計画している月面での太陽光発電)の採用も想定しているとのことです。廃棄物からメタノールを直接抽出する方法は、既に技術研究所に実験プラントが完成しているそうです。
グリーンフロートは2025年頃には、社会的・技術的な諸環境が整い実現が可能になるのではないか、ルナリングは、2030年ころから実現の可能性があるだろうと言うことでした。
グリーンフロートのイメージ図。図版の著作権者は清水建設株式会社です。
次にNPOツバルオーバービュー代表の遠藤秀一氏から現況報告がありました。 遠藤さんは写真家であり建築家でもあって、ツバル国の現状を認識しもらうための環境教育や、エコツーリズムに関する事業等、無償援助などのプログラムのコーディネートなどの事業を行われています。
遠藤さんからは、美しい写真と共に、気候変動に伴う深刻な状況が報告されました。オーストラリア気象局によれば、1993 年から、キリバスは6mm/年、ツバルでは5.8mm/年の潮位の上昇があったとのことです。
次に日本大学理工学部海洋建築工学科講師の 佐藤千昭先生よりビデオを使ったプレゼンテーションがありました。 フロートを海上空港として利用する可能性を確認するためのメガフロート研究組合による実証実験の映像が中心です。
メガフロートと言うのは、陸地の代用になるような巨大なフロートのことです。航空機がフロートの上に離着陸する映像もありました。250回もの離着陸実験が行われ、飛行場として使えることが確認されました。
フロートは既に技術的に確立されており、いつでも実施できる状況にあるとのことです。なお、佐藤先生がキリバスの海象を確認したところ、実証実験に使用したフロートでも対応できるとのことで、当時のフロートが今あれば、分解してキリバスに運べば使える可能性があったと言うことです。
(ちなみに、キリバスのためのフロート計画であるFarm Float 2015は、実証実験のフロートの約2倍強の面積です。)
続いて当社の白江からFarm Float 2015の環境技術に関するプレゼンがありました。
環境問題に脅かされているキリバスのための計画ですから、地球環境への対策に関して妥協は許されません。ランニングのエネルギーは完璧なゼロ化石エネルギー化を図る予定です。
主要な汎用エネルギーとしては、午前中に開発者の石川泰男先生よりご説明いただきました水素エネルギーを使い、家屋などの建築空間では自然エネルギーを活用します。太陽光発電や、風力、波力などの自然エネルギーを補助的に使い、ごみ処理発電も重要な要素として考えています。
ゴミ処理発電は、米国で活躍されている都市計画家の山下明先生のグループが開発された雑食性の高効率なゴミ処理発電プラントを使う計画です。海藻オイルを製造し、このオイルから炭素繊維を製造し、長期的な炭素固定を行いたいと考えています。
将来この炭素繊維を使って、フロートをカーボンファイバー・レインフォースト・コンクリートで作れれば、フロート増設が空気中の二酸化炭素削減に結び付くことになり、フロート建造時に発生した二酸化炭素を回収することもできます。
ただし、現在炭素繊維は石油から作られており、植物オイルからの製造には新たな研究開発が必要です。 自然環境に対しては、巨大なフロートの影響を極力小さくすると共に、フロートがあることで生態系の活動を活性化できるような計画を心がけています。
具体的にはフロートに開口を沢山設けてフロート下の闇の海域を小さくすると共に、フロートがどうしても幅広くなる部分には光や空気を送り込むなどの配慮をしています。
また、キリバス周辺は水深が深く海の砂漠と言われるような外洋の環境ですが、フロート周辺には深層水を汲み上げてミネラルが豊富な水環境を作り、キリバスの環礁のような生態系が豊かな生命環境を創るよう計画しています。
最後は前田先生のプレゼンテーションです。
今までの発表で、ニュー・フロート・アイランドが技術的・環境的に実現可能であることがわかりましたが、前田先生からは、社会的、文化的、政治的、経済的な実現可能性について発表がありました。
まず、ベニスの事例をあげられました。ベニスは6km×3kmの人工島に、キリバスとほぼ同じ100,000人が住んでいるそうです。 関西新空港はベニスとほぼ同じ広さです。関西新空港はフロートで創る案も検討され、技術的、経済的には可能と言われましたが、政治的な理由で埋め立て方式になったそうです。
ベニスの例をみると、この程度の面積の浮遊式海洋都市は、社会的にも文化的にも実現可能であることが分かります。 米軍の原子力空母は、5,000人が長期間生活し、排水は船上で処理し、水も船内で作っているので環境を汚染しない小都市として機能しているとのことです。
米国で計画されたフリーダムシップは、30,000人がコンドミニアムで暮らせる超大型客船であり浮遊海洋都市だそうです。動く海洋都市は、19 世紀の終わりにフランスの小説家;ジュール・ベルヌの作品に登場し、小説の中ではロスアンジェルス沖から出港し、ハワイ、南太平洋の島々、キリバスの南側を通り、ニュージーランド沖まで航海しているそうです。
発想としては長い歴史があります。このような浮遊都市をキリバスの船籍にすれば、船上ではキリバスの法律に従うことになり、タックスヘイブンにすれば自由なビジネスを展開でき、海外からの投資を呼び込むことも可能であるとのことです。
金融センターを作ることも可能で、ニュー・フロート・アイランド船上では各種の仕事を創出でき、キリバス国民は失業の心配をする必要がなくなるとのことです。ニューフロントアイランドは、技術的にはもとより、環境的にも、経済的にも、社会的、文化的にも、政治的にも実現可能と結論付けることができるとのことです。
さらに浮かぶ国家という人類の発展につながる新しい概念も創出できるとのことです。 また最悪のシナリオとして、地球温暖化が進んで南極の氷が全部溶けて陸上の居住地域が喪失する場合や、氷河期となり陸上の居住地域が凍結し居住が不可能となる場合が考えられますが、どちらの場合も赤道上にギガフロート(3000km×200km オーダーの巨大なフロート)を建設すれば100億人が生活でき、人類は生存し続けることが可能であるとのことでした。こういう概念は、宇宙コロニーにもつながるとのことです。
以上のプレゼンの後、内容が濃い討議と質疑応答が行われました。
最後に、アノテ・トン大統領より東京宣言が発表されました。
この宣言は、地球上に生きるすべての人々は自らの生存環境を尊重される権利があること、 自分の活動が地球全体の環境に与える影響について常に注意する義務があること、 自分の活動が誰かの生活環境に脅威を与えることを知った場合には、脅威を排除する義務があること、を簡潔に宣言したものです。
この宣言で特に重要なのは、国や地域や条約や法律などの全ての枠組みを超えて、ただ地球に生きる“人”であるだけで、地球環境に対する注意義務と、自らの活動が他の人の生存環境に脅威を与えている場合はそれを改善するための行動を起こす義務があることを世界中の人々に対して宣言したことです。
コペルニクスが地動説を唱えて以来、470年かけて人類は小さな星の閉鎖生態系の中で生きていることを自覚しましたが、今回の宣言はそのような生物が意識すべき最低限の義務と権利を明確にしたと言えるでしょう。
この宣言は、世界人権宣言が世界の民主主義運動に大きな根拠を与えたと同様に、全ての環境被害に苦しむ人々の権利回復の行動に明確な根拠を与えるものです。
そしてもし幸いにも温暖化が進まなかったとしても、環境に対して巨大化した文明が未来永劫持ち続け、発展させなくてはならない思想の根底を成すものになるはずです。 困難があるとしても、最終的には国連で採択していただきたい宣言です。
以下に東京宣言に先立つ大統領の発言と共に、宣言文を添付します。
私は、キリバスの国民を代表して発言する立場にあり、様々な国際会議に参加していますが、いつも失望しております。
しかしながら、今日は本当に希望をもちました。皆様に対して、全ての技術を理解したとは申し上げられませんが、少なくともソリューションを模索することにコミットしている人々がいるということが分かりました。
そして、今回日本に参りました時に、この様なインスピレーションに溢れた機会に恵まれるとは思っておりませんでした。
本日は、将来の生存への見込みが提示されたと思います。私が心を痛め、日々悩み続ける最も大きな課題は、これからの数世代に渡って、どのようにして人間として生き残っていくのかということです。
これと同じ課題を抱える国は、世界に沢山あると思います。これは深刻な影響を受けるものであり、人類に対して倫理的な課題を突き付けていると言えるでしょう。しかしながら、必ず人類には希望があります。
ですから今日は、これは持ち帰って考えていかなければならないと思います。今日のお話は全て野心的なものでしたが、我々に希望をもたらしてくれるものです。
私は、国民を代表いたしまして、そして南太平洋の島国の皆さん、そして気候変動によって影響を受ける全ての人々を代表して、皆様に対して感謝を申し上げたいと思います。
特に今日参加していただいた方々に感謝申し上げると共に、本日ご提起いただきましたソリューションに対して、ぜひサポートしてまいりたいと思います。
この様なオプションを戴きましたが、国際社会に対して何らかの形でソリューションを見つけて戴きたい。そして、我々も含めて全ての人々が様々な形で責任を持っており、ソリューションに対して責任をもっていると申し上げたいと思います。
これを私の締め括りの言葉とさせて戴きたいと思います。
これから私は東京宣言を行います。今後数十年間、私共が解決策を模索する上で、これを念頭に置いて進んでいきたいと思います。では、東京宣言をさせて戴きます。
最後に大統領にご挨拶して閉会です。 右がアノテ・トン大統領、中央はツバル・オーバーヴュー代表の遠藤氏、左が白江です。 疲労と緊張で紅潮しています。
*写真は全て天野憲仁氏撮影