■ 建築の耐久性 ■

私共は建築の耐久性向上を目指して、以下の3つの視点から計画・設計に取 り組んでいます。

【1.建築物の物理的な耐久性】
耐久性が高い材料を使って建築を造れば、建築の耐久性は向上します。しかし、 同じ材料でも接合部や慢性的に過重を受ける部分は性能が変わります。また建 築は一つの材料だけでは造れませんので、異種材料の接合部などが弱点にな りがちです。建築全体でバランスが取れた高耐久化の計画が必要です。私共は、 素材、工法、表面処理、塗装など、総合的な視点から建築の高耐久化に取り組ん でいます。

[コンクリートの高耐久化]
コンクリートの高耐久化の研究は、かつてはいろいろ行われたようです。複数の建設会社の内部で独自の工法が研究された時期もありました。しかしコンクリートの耐 久性向上にかかる費用は僅かであるにも関わらず、これらの研究成果が通常の建築で生かさ れる事はありませんでした。このような研究が、厳しい価格競争にさらされる建設会社主導で行われたため、ほんの僅かでもコストアップになる工法は採用できなかったのでしょう。今では、当の建設会社の社員でさえ、自社がそんな研究をしていた事を知らないありさまです。コンクリートの高耐久化は、発注者と設計者が意識して 取り組まないと実施できません。私共は設立当初よりコンクリートの高耐久化の提案をしてきました。今日では建築学会の基準等も整備されましたので、近年は建築学会の基準に、過去の研究から類推される改良を施して提案しています。

[鉄部の防錆]
建築のメンテナンスの中で鉄材の防錆塗装は大きなウエイトを占めます。特に手摺や屋外階段などの屋外の鉄部の塗装は数年で塗り替え時期が来てしまう上、錆が進むと安全性に関わるので、施設管理上の大きな負担になります。私どもは、溶融亜鉛メッキなどの犠牲防食とフッ素樹脂塗装などの被膜防食を組み合わせや、取り付け部詳細の工夫て防錆の寿命を延ばし、他のメンテナンス項目と同時期に管理ができるように配慮しています。

[アルミ構造体]
アルミは合金の種類によっては耐久性が高い建築が造れます。 《金沢駅東広場計画》では、「金沢は400年前に前田家が来た時に今の金沢の文化的 基礎が出来たのだから、当時の前田家の人たちより、経済力も技術力も高い今の金 沢の市民は、次の400年のための建築を創りましょう。400年の耐久性がある建築を 造りましょう。」と提案しました。そして最終的にアルミの建築を設計しました。現在の 学問の範囲では、400年の耐久性の根拠は作れませんが、とにかく長い耐久性を目 指して、各部の設計をしています。我々のシュミレーションでは、築後65年程度で、他 の材料に比べて経済的にも有利になります


【2.建築物の社会的な耐久性】
今日建築物の耐久性は、建物本体の物理的な耐久性よりも、使い勝手の悪化や設 備の老朽化、愛着の喪失などが原因で決まる事が多くなっています。これを我々は 社会的耐久性と呼んでいます。建物に求められる機能は時代と共に変わりますし、 設備は順次技術革新が行われます。建築の物理的寿命は、社会の変遷や設備の寿 命より長いので、建築にはこれらの変化に耐えられるフレキシビリティーが必要です。 また、多少の不便が出てきても、その建物を使っていたいと思わせる愛着が湧く要素 (文化性)や、維持の容易さと言った点も重要です。 私共は、長期的視野に立ってフレキシビリティーの高い建築計画を行います。また、施 主のニーズや時代の動向を適切に反映させて、今日の時代の精神を結晶させた、文化 性高い建築として完成させるよう努めています。

東松山市総合会館
地域の発展の動向を考慮して、商業的環境に適応できる建築計画としている。

金沢駅東広場計画
利用者の設計への参加や建築自体の美的魅力も利用者の愛着につながります。金沢駅東広場は懇話会や委員会を通して、市民の声を集めて設計しました。シティーゲート(鼓門)は、金沢 の歴史性のシンボルとして木造建築を求める市民の声を受けて設計しました。広場全体のデザインは、いろいろな時代の建築がモザイクのようにちりばめられた金沢の中で、20世紀後半の技術美を代表するようにデザインしています。


【3.災害で壊れない建築】
寿命が長い材料で造られた建築も、災害で壊れてしまっては意味がありません。私共 は、会社設立当初から耐震性の割増を提案してきました。適切に設計すれば、あまり コストアップになりません。最近は高性能免震建築、制震建築など、ハイテックな技術 も提案しています。