■ 建築の緑化 ■


建築の緑化には多くのメリットがあります。しかし幾つかの考慮すべき課題があり、建物にも工夫が必要です。私共は設立当初から建築の緑化に取り組んでいます。そして今も積極的に推進しています


【緑化建築のメリット】
  1. 夏季に建物表面の受熱防止に役立ち、省エネにつながります。屋上緑化の場合は、土が断熱効果を発揮します。
  2. コンクリート素地仕上の建物では、コンクリート表面が雨滴に洗われるのを防止します。
  3. 周辺の気温低減に役立ちます。 (街路樹の例では3℃〜3.5℃程度と言われています。)
  4. 建物表面からの熱放射を防止します。 (コンクリート素地仕上の建物等と緑化された建物では7〜8℃に相当する差があると言われていま す。)
  5. インテリア緑化では、冬の加湿の効果があります。
  6. 建物全体に及ぶような緑化は、地域レベルの生態系の一部分を形成し、生命環境に寄与 します。


【緑化建築への心構え】
建築の緑化を実現するには、最終的にクライアント様に超えていただかなくてはならない壁があります。それは、いかに慎重に設計をしても、刈り込みや落ち葉処理などのメンテナンスが発生します。また必ずしも期待した形に植物が成長するとは限りません。昆虫の発生も皆無にはできません。建物の緑化は、鉢植えの植物を室内に持ち込むのとはちがいます。緑化植物は否応無く地域の生命環境に組み込まれますし、その生命環境に組み込まれた植物と“共存”することになります。植物はメンテナンスを行えば人の価値観で美しい景観を創りますが、放置すれば彼らなりの価値観の環境を形成します。現代の都市生活に慣れすぎた方には、少し心の飛躍が必要です。しかし、きっと新しい喜びも与えてくれます。
珊瑚礁や森のように大規模な生命のコロニーは、みな、生命の多様性にあふれています。しかし、人類のコロニーである都市だけが、害獣駆除や殺菌と称して他の生命を排除してきました。建物の緑化は、思いのままにならない他の生物を生活環境に受け入れることになりますが、都市を生命の営みに復帰させる一助になるかも知れません。
剪定や落ち葉処理を心地よい労働と感じ、害虫駆除を楽しみと感じるような、新人類(旧々人類?)のクライアントの出現を期待します。


【白江建築研究所の緑化建築への取組み】
私共の最初の大型プロジェクトである東松山市総合会館では、屋上の15cmの土にセダムを植栽し、北側にはフッキ草を植えています。当時の屋上植栽は、地上の造園を建物上部に持ち上げた“屋上庭園”の概念が一般的で、土の過重のため駆体コストが高くなり、ぜいたく品と見なされていました。しかし土のない岩山にも植物があることをヒントに、建物上部の環境に適合した造園と植物選定(植物選定は愛植物設計)を行いました。セダムは今日では屋上緑化の花形ですが、このプロジェクトはその先駆けです。現在では先進的な造園家は、セダムから踏み出して、種の多様性のコンテナとも言うべき、地場に自生する植物を濃密に育成したターフの採用を提唱しています。 我々はそれへ向けた検討も行っています。また、メーカーの協力のもと、建築物の壁面緑化用ネットも開発しています。