■ 地震対策 ■


【地震対策】
地震対策はコスト増になるとして敬遠されがちですが、実際のコスト増は僅かで、免震建築では逆にコストダウンになる場合があります。

私共は事務所設立当初から様々な地震対策を研究し、実践してきました。特定の技術やメーカーとの関係がありませんので、建物の規模や状況に応じて最も適切な地震対策を提案します。

地震対策は建物の基本形に関わり、様々な周辺技術やデザイン上の工夫、コスト管理上の工夫が必要なので、構造技術者がいくら頑張っても、それだけでは適正な地震対策はできません。私どものように、設計を総括する意匠事務所が、基本的な計画を正しく立案しなくてはいけません。

ところがほとんどの意匠設計事務所は、地震対策について関心も知識もないのが現状です。そのような中で、私共は地震対策を正しく提案できる数少ない意匠設計事務所の一つです。


【地震対策のいろいろ】
建築の構造体の地震対策にはいろいろなグレードがあります。はっきりしたクラス分けはありませんが、分かり易くするため以下にグレード分けしました。現在ほとんどの建築は[1]で作られています。私共は通常[2]と[5]を提案しています。

1)建築基準法に対応して通常の構造設計を行ったもの。
2)重要度係数を定めて耐震性を割増したもの。 (1.25、1.5などを採用)
3)通常の高層ビルレベルのもの。(25カイン無損傷程度)
4)免震建築、又は制震の高層ビルで、通常のレベルのもの。(50カイン無損傷程度)
5)高性能免震、又は制震の高層ビルで、高性能なもの。(100カイン以上無損傷程度)



【耐震設計のお奨め】
3階建て以下の一般建築の場合に耐震設計の割増をお奨めしています。性能的には通常の1.5倍程度の耐震性の割増をお奨めしています。多少のコストアップにはなりますが、コンクリートの高耐久化への対応を併用すると、合理的に補強ができて、コストパフォーマンスが高い建築になります。

また、建物の形状や用途によってはコストの分岐点が耐震性の割増とからむ場合があるので、その場合は大幅にコストアックになる手前で耐震性の割増率を決めたり、割増率1.25を採用したりしています。


【高性能免震建築のお奨め】
我々は概ね100カイン以上の地震動に対して無損傷な設計(速度応答スペクトルで100〜220カイン程度に対応)をした建築を、高性能免震建築と呼んで積極的に推奨しています。

高性能免震を採用すれば絶対に安全というものではありませんが、日本で観測されたほとんどの地震に対して、断層の近くでない限り非常に安全性が高いと考えています。通常の免震の4倍のエネルギーに耐える高性能な設計ですが、この性能が大地震後も財産を保持したり、業務を継続するなどの点で、一つの分岐点です。

コストは適正に設計すれば通常の免震とあまり変わりません。適正に設計すれば、10階建て以上の建物では免震を採用しない場合に比べて工事費が安くなる可能性があり、工夫をこらせば低層の建物でもローコストな免震建築が可能です。免震建築は設計を総括する意匠設計者の能力によって、コストや使い勝手が大きく影響を受けます。私どもは、様々な周辺技術を蓄積して、合理的な免震設計を行う体制を整えています。


【小型ビルの高性能免震】
従来、小型ビルの高性能免震化は困難と考えられていました。しかし長らく開発が進められていた低摩擦の免震装置が実用に付され、実現が可能になりました。田代会計事務所は、1000sqm以下の建築としては、おそらく世界で最も高性能な免震建築です。(2003年現在)


現在私共は社会的意義が大きく免震の特性がぴったりのテーマとして、以下の用途の建物の高性能免震化に取組みたいと考えています。先見性あるクライアントの出現をお待ちしています。


【病院建築】
免震構造は建物の地震時の安全性が高いだけでなく、建物内部の揺れが緩和されますので、家具や装置が転倒するなどの建物内部の被害が少ないのが特徴です。病院建築に最適なシステムです。

最近ようやく一部の病院に採用され始めたようですが、十分な性能を確保したとは言えないレベルの設計が多いようです。また、高性能免震は様々な周辺技術を要しますので、俄か勉強では通用しません。我々は周辺技術も含めた総合的な取組で、病院の免震建築として将来のスタンダードになるような理想形を創りたいと考えています。

また、高齢化が進む社会の中で、従来のハイテクに特化した医療工場的な病院だけでなく、心のケアとセットになった療養所的病院のニーズもあると思います。この場合には、緩和された自然環境を取り込んだ自然エネルギー建築と高性能免震の組み合わせで、安全で快適な医療建築が提案できます。


【消防署・市役所・中央官庁等のコマンドセンター】
消防署や市役所は災害時に救援の司令塔になる施設です。地震時にも指揮機能を確保すべきです。今日の技術レベルと機能的な必要性を考えれば、今後建設されるこれらの建物は全て、躊躇なく高性能免震を採用すべきです。


【データセンター】
データセンターは、NSW山梨ITセンターで実現しました。この建築は外資系の大手企業によって、アウトソーシングの拠点に選ばれました。また、免震構造協会作品賞をはじめ、多くの賞を受賞しました。その後も我々は、総合的な防災計画に向けた研究と情報収集を進めています。


その他通常の事務所・マンション・ホテルなども、10階建て以上のビルでは経済性の点から、それ以外のものも財産保全の点から、高性能免震化を図るべきだと考えています。